「君主号」の世界史 (6)

「天下三分」

執筆者:岡本隆司 2018年6月9日
タグ: 中国 日本
エリア: アジア
「乱世の姦雄」として三国の争いを勝ち抜きながら、天下統一は果たせなかった魏の曹操(155年~220年)

 

「天下」という世界秩序を体系化するため、儒家が利用したのは、爵位の階層秩序である。たとえば、秦漢以前から存在していた、有名な公・侯・伯・子・男の五等爵を用いて、その最上位に天子=皇帝、およびそれに次ぐ王を置いた。これは中国内ばかりでなく、実効支配の及ばない外の範囲にも通じたもので、なかんずく注目すべきなのは、新たに帰順した周辺諸国・諸集団の首長に与える「王」爵である。

カテゴリ: 政治 社会 カルチャー
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
岡本隆司(おかもとたかし) 京都府立大学文学部教授。1965年、京都市生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。専門は近代アジア史。2000年に『近代中国と海関』(名古屋大学出版会)で大平正芳記念賞、2005年に『属国と自主のあいだ 近代清韓関係と東アジアの命運』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞(政治・経済部門)、2017年に『中国の誕生 東アジアの近代外交と国家形成』で樫山純三賞・アジア太平洋賞特別賞をそれぞれ受賞。著書に『李鴻章 東アジアの近代』(岩波新書)、『近代中国史』(ちくま新書)、『中国の論理 歴史から解き明かす』(中公新書)、『叢書東アジアの近現代史 第1巻 清朝の興亡と中華のゆくえ 朝鮮出兵から日露戦争へ』(講談社)、『悪党たちの中華帝国』(新潮選書)など多数。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top