65
梅田から乗った汽車が淀橋の鉄橋にかかると、すぐに義江はハーモニカの箱を手にとって開けてみた。
「かなしくなったらこれをふきなさい」とおかみさんの下手な字が書いてある。義江は以前から欲しかったハーモニカが手に入った事で、天にも昇る気持だった。しかも新しい着物を着て、大好きな汽車に乗っている。
この続きは会員登録をすると読むことができます。
「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン