岩瀬昇のエネルギー通信 (116)

米「ベネズエラ制裁」マドゥロ政権交代なら石油市場はどうなる

グアイド暫定大統領が正式に政権を担うのか?(C)EPA=時事

 

 米国が1月28日、ベネズエラ国営石油「PDVSA」に対し、経済制裁を科すと発表した。『フィナンシャル・タイムズ』(FT)がさっそく、その影響について取りまとめた記事を掲載している(「US squeezes Venezuela: what now for oil?」東京時間2019年1月30日18:15ごろ)。

 だが、「FT」にしては珍しく、調査・分析が不十分な記事だ。

 たとえば、石油業界誌 『S&P Global Platts』が既に報じているように(「US sanctions PDVSA, creating likely major diversions of crude , diluent flow」2019年1月29日掲載)、今回の制裁には、「3カ月間」のベネズエラ原油購入猶予期間が付いているはずだ。なぜか「FT」には明確な記載がない。

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執筆者プロフィール
岩瀬昇(いわせのぼる) 1948年、埼玉県生まれ。エネルギーアナリスト。浦和高校、東京大学法学部卒業。71年三井物産入社、2002年三井石油開発に出向、10年常務執行役員、12年顧問。三井物産入社以来、香港、台北、2度のロンドン、ニューヨーク、テヘラン、バンコクの延べ21年間にわたる海外勤務を含め、一貫してエネルギー関連業務に従事。14年6月に三井石油開発退職後は、新興国・エネルギー関連の勉強会「金曜懇話会」代表世話人として、後進の育成、講演・執筆活動を続けている。著書に『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?  エネルギー情報学入門』(文春新書) 、『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』 (同)、『原油暴落の謎を解く』(同)、最新刊に『超エネルギー地政学 アメリカ・ロシア・中東編』(エネルギーフォーラム)がある。
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