「人手不足」と外国人 (33)

「消えた留学生」問題に潜む安倍政権の「パンドラの箱」

執筆者:出井康博 2019年4月5日
エリア: アジア
東京福祉大学の公式HPには美辞麗句が並んでいるが……

 

  今年3 月中旬に『TBS』系のニュース・ネットワーク『JNN』が第一報を発して以降、東京福祉大学の「消えた留学生」問題がマスコミで注目を浴びている。同大の留学生が過去1年間で700人近くも「所在不明」になっていたというニュースである。

 留学生の所在不明は、不法就労や不法残留につながる。問題は国会で野党議員が取り上げた。

 また、文部科学省所管の「日本私立学校振興・共済事業団」は3月20日、東京福祉大学を運営する学校法人「茶屋四郎次郎記念学園」への2018年度分の私学助成金を前年から50%減額し、約2億4500万円にすると発表した。過去に実刑判決を受けた元総長が学校運営に関わっていたためだが、「消えた留学生」問題が影響した可能性は高い。3月26日には、法務省と文科省による同大への立ち入り調査もあった。

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執筆者プロフィール
出井康博(いでいやすひろ) 1965年、岡山県生れ。ジャーナリスト。早稲田大学政治経済学部卒。英字紙『日経ウィークリー』記者、米国黒人問題専門のシンクタンク「政治経済研究ジョイント・センター」(ワシントンDC)を経てフリーに。著書に、本サイト連載を大幅加筆した『ルポ ニッポン絶望工場」(講談社+α新書)、『長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う』(新潮社)、『松下政経塾とは何か』(新潮新書)など。最新刊は『移民クライシス 偽装留学生、奴隷労働の最前線』(角川新書)
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