「人手不足」と外国人 (36)

「文科省」「入管」「自治体」「学校」ブータン留学生を食い物にする「日本」の罪(上)

執筆者:出井康博 2019年9月5日
エリア: アジア
秋篠宮ご一家が訪問され、ワンチュク国王夫妻とも歓談されたことで再び注目を集めた「幸せの国」ブータンだが……(C)AFP=時事
 

 梅雨の雨が降り注いでいた7月16日――。時刻は正午を過ぎていたが、ブータン人留学生のダワ君(仮名・20代)は千葉県船橋市内のアパートで、布団に横たわったままだった。宅配便の仕分け現場で徹夜のアルバイトをこなした後、2時間ほど前に眠ったばかりなのだ。

「ダワ!」

 名前を呼ばれ目を覚ますと、部屋の入り口にルームメイトのタンディン君(仮名)が立っていた。普段は明るい彼の表情が沈んでいる。

カテゴリ: 政治 社会 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
出井康博(いでいやすひろ) 1965年、岡山県生れ。ジャーナリスト。早稲田大学政治経済学部卒。英字紙『日経ウィークリー』記者、米国黒人問題専門のシンクタンク「政治経済研究ジョイント・センター」(ワシントンDC)を経てフリーに。著書に、本サイト連載を大幅加筆した『ルポ ニッポン絶望工場」(講談社+α新書)、『長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う』(新潮社)、『松下政経塾とは何か』(新潮新書)など。最新刊は『移民クライシス 偽装留学生、奴隷労働の最前線』(角川新書)
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