灼熱――評伝「藤原あき」の生涯(69)

まだ戦争前、家族そろって洋行から帰国した頃(下関市「藤原義江記念館」提供)
 

「いいか、どんなに調子が悪い時でも女からの誘いは断るな。はってでも行くもんだぞ。それが男の生き方だ」

 山梨の「サドヤ」(大正6=1917=年創業のワイナリー)の赤葡萄酒のグラスを手にした藤原義江が、「小川軒」の3代目ムッシュこと小川忠貞に女性に対する哲学を教える。

「あとはだな、女とデートするなら教会が1番だぞ」

 フランスでの修行から戻った若き3代目が小川軒の厨房に立つようになったのが昭和45(1970)年なので、義江70代の発言である。義江は小川軒3世代のシェフの味を堪能した常連であった。

カテゴリ: 社会 カルチャー
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執筆者プロフィール
佐野美和(さのみわ) 政治キャスター。東京都八王子市出身。株式会社チェリーブロッサムインターナショナル代表取締役。大学在学中、フジテレビの深夜番組として知られる『オールナイトフジ』のレギュラーメンバー「オールナイターズ」の一員として活躍した。1992年度ミス日本に選ばれる。TBSラジオのパーソナリティ、TBSラジオショッピングの放送作家を経て、1995年から2001年まで八王子市議会議員として活動。以後はタレントとしてテレビ出演のほか、講演会も精力的に行う。政治キャスターとしてこれまで600人以上の国会議員にインタビューしている。主な書籍に『アタシ出るんです!』(KSS出版)、『あきれたふざけた地方議員にダマされない!』(牧野出版)などがある。
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