新・マネーの魔術史:未来篇 (4)

世界通貨の誕生は「悪」か?

執筆者:野口悠紀雄 2019年10月10日

 

「仮想通貨『リブラ』が世界通貨になれば、国際的投機を助長する」という批判がある。

 しかし、投機が生じるような経済政策が行われていることこそが問題だ。「国際的資本移動を制約せよ」というのは、本末転倒の議論である。

投機が生じる条件があることこそ問題

『フィナンシャル・タイムズ』のラナ・フォルーハー は、「リブラが助長する投機」で、 「リブラが使われるようになれば、国際的な投機を助長する」としている。

 こうした危険があることは否定できない。

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執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
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