灼熱――評伝「藤原あき」の生涯(79)

執筆者:佐野美和 2019年11月23日
撮影年不詳ながら、義江との離婚、独り立ちを決意した頃のあき(自伝『ひとり生きる』(ダヴィッド社、1956年)より)

 人は悲しみの淵から底に落とされるのをあれこれ悩んでいるときよりも、むしろ底に落ちてしまった時の方が強い。

 これからは上がっていくしかないのだから。

 初出勤から3日目、あきの「給与取り」生活が本格的に始まろうとしている。

 狭いアパートの中で引きこもるような生活から、出勤という朝の若い光が差し込む生活が始まっている。

 山手線の電車を新橋で降りて、正面口の方に階段を下りる。改札とその先に広がる広場に大勢の人が早足で行きかう。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
佐野美和(さのみわ) 政治キャスター。東京都八王子市出身。株式会社チェリーブロッサムインターナショナル代表取締役。大学在学中、フジテレビの深夜番組として知られる『オールナイトフジ』のレギュラーメンバー「オールナイターズ」の一員として活躍した。1992年度ミス日本に選ばれる。TBSラジオのパーソナリティ、TBSラジオショッピングの放送作家を経て、1995年から2001年まで八王子市議会議員として活動。以後はタレントとしてテレビ出演のほか、講演会も精力的に行う。政治キャスターとしてこれまで600人以上の国会議員にインタビューしている。主な書籍に『アタシ出るんです!』(KSS出版)、『あきれたふざけた地方議員にダマされない!』(牧野出版)などがある。
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