国際人のための日本古代史 (146)

スサノヲ篇(9)
国名変遷が物語るスサノヲの存在

執筆者:関裕二 2022年5月3日
タグ: 日本 中国
エリア: アジア
国号の謎と建国神話、そしてスサノヲの行状が重なり合う(月岡芳年『日本略史 素戔嗚尊』)
かつて大陸で「倭」と呼ばれた国が、自ら「日本」を国号にした理由――中国や日本の史料からは、東の「日本」が西の「倭」を併呑した、という流れが浮かぶ。同時にそれは、新たな時代を切り開こうとしたスサノヲの神話と合致するのだ。

 スサノヲは出雲出身ではなく、弥生時代後期にタニハ(但馬、丹波、丹後、若狭)から出雲に乗り込んできたと、前回述べた。スサノヲは東の潜在能力を引き出し、西側からの圧力をかわし、新たな時代を切り開こうとしていたのではなかったか……。

「日本」国号は中国を意識していたのか?

 今回はこの仮説を、別の視点で解き明かしてみたい。まずは、「日本という国名」にまつわる話だ。意外な形で東西日本の葛藤の痕跡が浮かび上がってくる。

カテゴリ: カルチャー 社会
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執筆者プロフィール
関裕二(せきゆうじ) 1959年千葉県生れ。仏教美術に魅せられ日本古代史を研究。武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー。著書に『藤原氏の正体』『蘇我氏の正体』『物部氏の正体』、『「死の国」熊野と巡礼の道 古代史謎解き紀行』『「始まりの国」淡路と「陰の王国」大阪 古代史謎解き紀行』『「大乱の都」京都争奪 古代史謎解き紀行』『神武天皇 vs. 卑弥呼 ヤマト建国を推理する』など多数。最新刊は『古代史の正体 縄文から平安まで』。
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