
10月20日に辞意を表明したトラス氏(C)EPA=時事
「茶番」の末に、英国新政権が船出する。
はじまりはリズ・トラスの「悲劇」だった。
就任から1カ月半、英国史上最短記録を塗り替えて、トラスが10月20日に首相辞任を表明した。すでに市民の支持も、与党内の支えも失っていた。調査会社「レッドフィールド・アンド・ウィルトン・ストラテジーズ」が公表した世論調査によると、首相支持率は最終的に6%にまで落ち、不支持は83%に達した。
不支持の背景では、党勢の衰えを反映した党内の人材不足に加え、欧州連合(EU)離脱の余波や、ロシアのウクライナ侵攻に伴う物価高などが複合的に作用していた。トラス自身の舵取りにも問題があったものの、英国と保守党の病理が凝縮された結果でもあった。

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