政治的なるものとは~思索のための1冊 (7)

一に人、二に人、三に人――後藤新平にみる真のリーダーとは

執筆者:橋本五郎 2022年12月25日
タグ: 日本
エリア: アジア
“人材煩悩”と評された後藤新平
政治の要諦が「人事」にあることは洋の東西を問わない。すぐれた人事には、何よりも人を見抜く眼がなければならない。人にはさまざまな才能がある。その才能が発揮される場はどこか、どんな状況かでその人の成否が左右される。内務大臣として関東大震災の復興を指揮した後藤新平の政治指導は、その好個の事例を私たちに示してくれる。

 

 後藤新平(1857~1929)の代名詞は「大風呂敷」だった。日本初の政党内閣をつくった原敬は近代日本を理解する上での第一級資料となる『原敬日記』(全6巻)を残した。この日記に最も頻繁に登場するのは、意外なことに、政党政治家・原敬とは対極にあった藩閥政治の総帥・山県有朋である。そして西園寺公望、大正天皇に次いで多いのが後藤新平だ。しかし、原の後藤評は辛辣この上ない。

 「後藤は余の見る所にては案外法螺のみにて(中略)厚顔にも哀願するかと思へば忽ち倨傲の態度を現はすものにて本日の如き余の断固たる謝絶に遭ふて彼頻りにブツゝゝ言つて別れたり」(明治43年3月16日)

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カテゴリ: 政治 社会
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執筆者プロフィール
橋本五郎(はしもとごろう) 『読売新聞』特別編集委員。1946年秋田県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、読売新聞社に入社。論説委員、政治部長、編集局次長を歴任。2006年より現職。『読売新聞』紙上で「五郎ワールド」を連載するほか、20年以上にわたって書評委員を務める。日本テレビ『スッキリ』、読売テレビ『ウェークアップ!ぷらす』、『情報ライブミヤネ屋』ではレギュラーコメンテーターとして活躍中。2014年度日本記者クラブ賞を受賞。著書に『範は歴史にあり』(藤原書店)『「二回半」読む――書評の仕事1995-2011』(以上、藤原書店)『不滅の遠藤実』(共編、藤原書店)『総理の器量』『総理の覚悟』(以上、中公新書ラクレ)『一も人、二も人、三も人――心に響く51の言葉』(中央公論新社)『官房長官と幹事長――政権を支えた仕事師たちの才覚』(青春出版社)など多数。
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