経済の頭で考えたこと (16)

インド・中国の「孤立」回避へ日本がすべきこと

執筆者:田中直毅 2009年6月号
エリア: アジア

 信用収縮からの回復にあたってインドや中国などの勃興経済(エマージングエコノミー)への期待が高まると、他方で「新主役」の行儀作法や挫折に至りかねない脆弱性についての指摘も次々と登場するようになった。世界の新秩序形成までには、われわれは一山も二山も乗り越えなければならないだろう。 勃興経済そのものがもつ活力、一言でいえば潜在成長力への驚嘆の念が先進国側にあるため、世界秩序をテーマとした会議へ彼らの代表者を呼びよせることはもはや不可欠の手続きとなっている。欧米と日本からの参加者が多数で、インド、中国からはそれぞれ少数しか招かれないという非政府の国際会議での雰囲気はどれも似ている。そこでは欧米、日本側が「勃興経済」側への「苦情」を述べることから始まる。相当な異質性を感じざるをえないからだ。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
田中直毅(たなかなおき) 国際公共政策研究センター理事長。1945年生れ。国民経済研究協会主任研究員を経て、84年より本格的に評論活動を始める。専門は国際政治・経済。2007年4月から現職。政府審議会委員を多数歴任。著書に『最後の十年 日本経済の構想』(日本経済新聞社)、『マネーが止まった』(講談社)などがある。
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