米国の「戦争を防ぐ意思と能力」を値踏みするイラン

Foresight World Watcher's 6Tips

執筆者:フォーサイト編集部 2024年10月5日
エリア: 中東
中東はイスラエルとイラン双方の計算の板挟みになっている[レバノン政府関係者との会談を行うためベイルートを訪問したイランのアッバス・アラグチ外相(中央)=2024年10月4日、レバノン・ベイルート](C)EPA=時事

 今週もお疲れ様でした。ハマスによるイスラエルへの越境攻撃から間もなく1年が経過します。イスラエル軍のレバノン侵攻が拡大する中、中東全域への戦火拡大が改めて懸念されています。

 ハマスからヒズボラへと攻撃対象を移したイスラエルに確たる戦略は存在するのか、これは見極めにくいところです。ただ、イスラエル・ハマス戦争(という呼び方は、もう再考すべきなのですが)は確実に複雑性を増しています。ヒズボラやハマスなどいわゆる「抵抗の枢軸」の弱体化は、イランにとっての対イスラエル抑止力が損なわれることを意味するでしょう。この力学の変化の先には何があるのか。たとえばイランの核開発能力をどう見るべきか。ここへ来て、こうした射程の長い問題意識に基づく分析が海外メディアに表れるようになっています。

 フォーサイト編集部が熟読したい海外メディア記事6本、皆様もよろしければご一緒に。

The Middle East on Fire【Mona Yacoubian/Foreign Affairs/10月3日付】

「ポケットベル攻撃は、単独の作戦としてみたときは、イスラエルがヒズボラに戦闘の縮小を強制し、さもなければ壊滅的な戦争に直面させるという決意の表れであった可能性がある。しかし、イスラエルが[ヒズボラ最高指導者、ハサン・]ナスララの殺害、レバノンへ攻撃の強化、さらには地上侵攻開始の決定に踏み出したことは、より暗い可能性を示唆している。ポケベル攻撃は、より広範囲にわたるイスラエル軍の介入の前段階として、ヒズボラを後手に回らせることを目的としたものにすぎなかったというものだ」

 米「フォーリン・アフェアーズ」誌サイトに寄せた「燃えさかる中東」(10月3日付)で、このような見方を示したのは、米国平和研究所(USIP)中東・北アフリカセンターのバイスプレジデント、モナ・ヤコビアンだ。

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カテゴリ: 軍事・防衛
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