1月のロシアは記録的なマロース(寒波)に襲われ、首都モスクワでは最低気温氷点下30度前後の日々が1週間以上続いた。-30度では、寒いというより痛い感覚であり、重装備しても10分歩くのが限界だ。濡らしたタオルが数秒間で硬直してしまう。 世界の寒極とされる極東ロシアのサハ共和国では-60度を記録。温暖な南部でも氷点下20―30度となり、全土が凍土と化した。各地で凍死者が続出、水道管・ガス管の破裂、停電が相次ぎ、社会生活が混乱した。 イズベスチヤ紙によれば、1941年、79年に続き「100年に1度か2度しかない大寒波」という。厳冬の年は冷夏で、ドイツ軍が侵攻した41年6月に雪が降った記録がある。筆者の記憶では、ソ連邦が解体した91年も厳冬、冷夏だった。79年にはソ連軍によるアフガン侵攻があり、今年はロシア激動の1年になるのだろうか。

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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