ロシア人の多くが親日的であるにもかかわらず、領土問題が一歩前進しようとすると暗躍を始める一群がいる。 昨年七月、洞爺湖サミット(主要国首脳会議)出席のため来日したロシアのメドベージェフ大統領は、日本が大層気に入り、帰国時に「日本にはこれから何度も来たい」と話していたという。同行のロシア人記者によれば、緑茶を愛好する大統領は、高級茶をダンボール三箱に詰め、専用機で持ち帰った。 スベトラーナ夫人も日本食ファンで、大統領より一日早く北海道入りし、寿司とエステを堪能した。一人息子のイリヤ君もドラえもんの大ファンだ。寿司をつまみ、緑茶を愛好する大統領一家の生活スタイルは、ロシアのエリートでは一般的だ。豊かになった彼らは健康志向を強め、ウオツカを日本酒に、紅茶を緑茶に変え、日本人の長寿の秘訣に学ぼうとしている。

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