深層レポート 日本の政治 (59)

日中「政冷」もものかは 忠告も進言も突っぱねまくる首相

執筆者: 2004年12月号
タグ: 中国 インド 日本
エリア: アジア

 五月に国民年金保険料未納問題で引責辞任して以来、首相官邸にほとんど足を踏み入れなかった福田康夫前官房長官が、このところ頻繁に小泉純一郎首相を官邸五階の執務室に訪ねている。十月六日、二十二日、十一月一日、八日と、ほぼ週に一度のペースだ。表向きの用件は「ユドヨノ・インドネシア新大統領就任式に特派大使として出席した報告」であったり、「長男の結婚披露宴出席への御礼」だったりとさまざまだったが、足繁く通う理由は別にあった。「日中」である。 首相の靖国神社参拝に中国が反発し、日中両国首脳の相互訪問は二〇〇一年十月の首相訪中を最後にぷっつりと途絶えている。〇一年八月十三日の初めての靖国参拝に関しては、首相が二カ月後に訪中し盧溝橋の中国人民抗日記念館を訪問したことで、中国側も矛を収めた。しかし翌年四月二十一日の二度目の参拝に中国側はキレた。当時の江沢民国家主席は直後に訪中した神崎武法公明党代表に対して、「参拝は終わったのではないかと思っていた。政治家は信義を守らなければならない。小泉首相の靖国参拝を私は絶対に許すことはできない」と声を荒らげたものだ。首相は九日前に朱鎔基首相と会談したばかり。顔に泥を塗られたとの思いが怒りを倍加させていた。

カテゴリ: 政治
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