米国での話に戻る。英語で書いて送り、原稿料を取る。簡単そうだが私の原稿は少しも売れなかった。教室では教授は「いい原稿」とはどういうものかを教える。日本の専門学校とどこが違うと問うだろうが、その間にジャーナリズムとは何か、ジェームズ・レストンはどのようにして大記者になったかなどを話す。みなジャーナリズムの根幹にかかわる話である。
結局私の原稿は1つか2つの業界紙に採用されただけだが、ジャーナリズムについて考えさせられる授業だった。
この時の教育を実際に活かす機会は、この20年後に来た。それはベトナム戦争最後の1日を書いたことである。

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