風が時間を
風が時間を(30)

まことの弱法師(30)

 米国での話に戻る。英語で書いて送り、原稿料を取る。簡単そうだが私の原稿は少しも売れなかった。教室では教授は「いい原稿」とはどういうものかを教える。日本の専門学校とどこが違うと問うだろうが、その間にジャーナリズムとは何か、ジェームズ・レストンはどのようにして大記者になったかなどを話す。みなジャーナリズムの根幹にかかわる話である。

 結局私の原稿は1つか2つの業界紙に採用されただけだが、ジャーナリズムについて考えさせられる授業だった。

 この時の教育を実際に活かす機会は、この20年後に来た。それはベトナム戦争最後の1日を書いたことである。

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執筆者プロフィール
徳岡孝夫 1930年大阪府生れ。京都大学文学部卒。毎日新聞社に入り、大阪本社社会部、サンデー毎日、英文毎日記者を務める。ベトナム戦争中には東南アジア特派員。1985年、学芸部編集委員を最後に退社、フリーに。主著に『五衰の人―三島由紀夫私記―』(第10回新潮学芸賞受賞)、『妻の肖像』『「民主主義」を疑え!』。訳書に、A・トフラー『第三の波』、D・キーン『日本文学史』など。86年に菊池寛賞受賞。
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