「世界同時多発」エネルギー価格高騰に「4つの仮説」

執筆者:小山 堅 2021年11月10日
戦略的意図をもって余力を維持するプレイヤーの力がタイトな市場を左右する(2020年1月、ガスパイプライン「トルコストリーム」の開通式に出席したプーチン露大統領[左]。右はトルコのエルドアン大統領) ⓒAFP=時事
原油、LNG・天然ガス、石炭、電力――同時多発的に発生した価格高騰は、コロナ禍と効率化で供給余力が下がっていたエネルギー市場の脆さを示している。今後、脱炭素に向かう過程では、需給タイトは構造的にもなりかねない。移行期の市場安定というテーマに向けて発せられた重要なシグナルに注目する。

   エネルギー価格高騰が世界の注目を集めている。原油価格は2021年10月にはブレント・WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)共に80ドルの大台を突破し、10月下旬にはブレントは80ドル台後半まで上昇した。原油価格の上昇は世界経済の先行きへの警戒感も生み出している。この背景には基本的には石油需給のタイト化がある。2020年のコロナ禍による需要蒸発から世界経済が回復・需要拡大基調にある中、OPEC(石油輸出国機構)とロシアなどからなる産油国グループ、OPECプラスが協調減産を持続し、石油在庫は大きく低下してきた。8月末のハリケーンにより米国石油生産が低下したことも価格上昇を加速した。さらに、OPECプラスが油価上昇にどう対応するか世界が注目したが、彼らが増産拡大を見送ったことで、10月に一気に80ドル突破をもたらした。

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執筆者プロフィール
小山 堅 日本エネルギー経済研究所専務理事・首席研究員。早稲田大学大学院経済学修士修了後、1986年日本エネルギー経済研究所入所、英ダンディ大学にて博士号取得。研究分野は国際石油・エネルギー情勢の分析、アジア・太平洋地域のエネルギー市場・政策動向の分析、エネルギー安全保障問題。政府のエネルギー関連審議会委員などを歴任。2013年から東京大公共政策大学院客員教授。2017年から東京工業大学科学技術創成研究院特任教授。主な著書に『中東とISの地政学 イスラーム、アメリカ、ロシアから読む21世紀』(共著、朝日新聞出版)、『国際エネルギー情勢と日本』(共著、エネルギーフォーラム新書)など。
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