2つの「対等な競争相手」と対峙するアメリカ:通常戦力優位の喪失がもたらす「核の復権」

激変する東アジアのミサイル情勢3

執筆者:高橋杉雄 2022年2月18日
エリア: 北米
オハイオ級SSBNも冷戦期に配備されたシステム(米海軍横須賀基地に入港したオハイオ級原子力潜水艦「ミシガン」=2010年撮影)  ©︎時事[米海軍提供]
軍事的にも「唯一の超大国」の地位を失ったアメリカは、いま中国とロシアという「ニア・ピア・コンペティター(ほぼ対等な競争相手)」からの挑戦を同時に受ける可能性がある。冷戦後、核戦力を通常戦力から切り離された「オフリミット」として取り扱ってきたアメリカは、抑止力にふたたび核を組み込む体制作りを迫られている。

 現在の世界において、核・ミサイル脅威が深刻化している。北朝鮮は核ミサイルの配備を既に行っているとみられ、中国・ロシアは極超音速兵器を含む新型のミサイルの開発・配備を進めている。こうした核・ミサイル脅威に対して、日本を含む同盟国・友好国に「核の傘」を含む拡大抑止を提供しているのがアメリカである。

   冷戦終結後しばらくの間、アメリカは「唯一の超大国」としての地位を謳歌した。しかしイラク戦争の泥沼化によってアメリカの国力は消耗し、リーマンショックに端を発する世界経済危機と合わせてソフトパワー的なリーダーシップも低下した。加えて「アメリカ・ファースト」を掲げ、時として場当たり的でさえあったトランプ政権の対外政策は、米国の政策の一貫性に対する信頼感を毀損した。

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カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
高橋杉雄 1972年生まれ。防衛省防衛研究所防衛政策研究室長。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、ジョージワシントン大学コロンビアンスクール修士課程修了。専門は現代軍事戦略論、日米関係。共著書に『新たなミサイル軍拡競争と日本の防衛』(並木書房)、『「核の忘却」の終わり: 核兵器復権の時代』(勁草書房)など。
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