金まみれの祭典、東京五輪が残す「負のレガシー」(下):2025年世界陸上、2030年札幌冬季五輪構想も経費膨張

執筆者:後藤逸郎 2022年8月12日
タグ: 日本
エリア: アジア
年間24億円の維持費を担える民間運営事業者は見つかるのか[国立競技場=7月9日](C)AFP=時事
国立競技場を筆頭に、東京五輪関連施設が未来の赤字発生装置になってしまった理由には、「招致ありき」の辻褄合わせと希望的観測を国、都、組織委の利害関係者が繰り返したことが決定的要因になっている。その構図は2030年冬季五輪に名乗りを上げた札幌にも引き継がれた。たとえば、予算の試算にあたってあまりにも低く見積もられたそのインフレ率はどうか。(こちらの前編から続きます)

 国際陸上競技連盟(世界陸連)は7月14日、米オレゴン州で開いた理事会で、2025年世界陸上競技選手権大会の東京開催を決めた。オリンピックとは一見つながりのないこのニュースは、東京2020オリンピック・パラリンピック大会の「負のレガシー」である経費膨張の第二幕が開いたことを示す。

国立競技場の“使い捨て”

 2025年世界陸上は国立競技場が会場だ。だが、国立競技場にはそれまで、世界陸上の会場となる資格がなかったことはあまり知られていない。練習用のサブトラック設置という、世界陸連が公式記録を認定する必須条件を満たさなかったからだ。

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カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
後藤逸郎(ごとういつろう) 1965年富山県生まれ。ジャーナリスト。金沢大学法学部卒業後、1990年毎日新聞社入社。姫路支局、和歌山支局、大阪本社経済部、東京本社経済部、大阪本社経済部次長、週刊エコノミスト編集次長、特別報道グループ編集委員、地方部エリア編集委員などを経てフリーランスに。著書に『オリンピック・マネー 誰も知らない東京五輪の裏側』『亡国の東京オリンピック』がある。
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