Weekly北朝鮮『労働新聞』
Weekly北朝鮮『労働新聞』 (88)

北朝鮮外務省がロシアへの派兵を事実上認めるも、『労働新聞』は報じず(2024年10月20日~10月26日)

執筆者:礒﨑敦仁 2024年10月28日
エリア: アジア ヨーロッパ
北朝鮮兵がロシア軍の装備を受け取っているとされる動画[ウクライナ戦略コミュニケーション・情報安全保障センターのXアカウントより](C)時事
10月25日、北朝鮮外務省のロシア担当次官が朝鮮中央通信の記者の質問に答える形で、ウクライナへ侵攻するロシアへの北朝鮮将兵の派遣を事実上認める発言をした。だが、対外メディアの朝鮮中央通信とは異なり北朝鮮国民が目にする『労働新聞』では、このことについてまったく報じていない。【『労働新聞』注目記事を毎週解読】
 

 10月22日付は、7月に発生した慈江(チャガン)道の洪水被害現場を金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が現地指導したことについて報じた。被災地の住宅建設は既に内装工事に入っており最終段階だという。金正恩は、被災者のための住宅は「いささかの欠点も完全無欠に克服して、完璧さの保障にさらなる力を入れなければならない」とした。完成度の高さが求められる代わりに、11月初めまでとされた当初の工期設定は12月初めまで延長された。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
礒﨑敦仁(いそざきあつひと) 慶應義塾大学教授。専門は北朝鮮政治。1975年生まれ。慶應義塾大学商学部中退。韓国・ソウル大学大学院博士課程に留学。在中国日本国大使館専門調査員、外務省第三国際情報官室専門分析員、警察大学校専門講師、米国・ジョージワシントン大学客員研究員、ウッドロー・ウィルソンセンター客員研究員など歴任。著書に『北朝鮮と観光』(毎日新聞出版)、共著に『最新版北朝鮮入門』(東洋経済新報社)など。
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