西武グループ再建を左右する「もう一つの堤家」

執筆者:安西巧 2005年4月号
タグ: 日本

義明の逮捕よりも、同日に起こされたある訴訟のほうが、メーンバンクの「みずほ」を震撼させた。ついに堤家の「次男」が登場したからだ。 東京地検特捜部の係官が運転する白いミニバンが、東京・芝にある東京プリンスホテルの食材・手荷物搬入口に到着したのは、三月三日午前九時五十一分。十数人の従業員、約三十人の報道陣が見守るなか、十時七分に後部座席をカーテンで覆った状態で発車し、霞が関の東京地検に向かった。 日本中が注目した前コクド会長、堤義明(七〇)の逮捕劇。実はこの日、東京地検の建物の南西側に隣接する東京地裁に一通の訴状が提出された。原告は義明の異母兄で元セゾングループ代表の堤清二(七七)と清二の姉妹の親族計三人。西武グループの中核会社コクドの株式について、名義人になっているプリンスホテル社長の山口弘毅(六八)やコクド社長の大野俊幸(六六)など二十七人を相手に、株の所有権は堤家にあることの確認を求める訴訟を起こしたのである。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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