
陳寿『三国志』「蜀書」に記載の、劉備の伝記「先主伝」。正史では「伝」にせざるを得なかった(国立国会図書館蔵)
3世紀からはじまる動乱の時代を、中国流の漢語でいえば、「三国六朝」という。漢王朝が滅んだ220年あたりから、日本でもおなじみの隋・唐がはじまる6世紀末から7世紀はじめにかけて、多くの政権が併存対立し、相剋する時代であった。
天子と皇帝
われわれはともすれば、この時期を分裂時代と称しがちである。「分裂」とは、1つのものが分かれることで、「天下三分」というフレーズも変わらない。唯一の「天下」が三つに分かれた、という意味だから、そこには「天下」とは1つであるべき、統一体であらねばならない、とする特定のイデオロギーが存在する。

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