対露エネルギー制裁は「輸出収入」よりも「中長期の開発」に打撃を与える

執筆者:小山 堅 2022年6月21日
エリア: ヨーロッパ
CO2フリー水素やアンモニアの供給でもロシアは米国や中東と並ぶポテンシャルがあった(写真は中国山東省青島市の水素製造プラント=2021年8月5日) (C)CFoto/時事通信フォト
価格高騰と制裁不参加国で輸出収入が維持されることから、ロシア経済がエネルギー分野で受ける打撃は短期的には小さいだろう。しかし、本来から厳しい資源開発環境という課題を抱えるロシアにとって、西側の投資と技術がストップするダメージは相当に大きくなるはずだ。

 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まって間もなく4カ月が経過する。ウクライナの東部や南部などでは激しい戦闘が続き、ロシアとウクライナの戦争は長期化する様相を見せている。ウクライナの主権を侵害し、「力による一方的な現状変更」を試みるロシアに対して、欧米そして日本は従来に見られなかったほど強力な経済制裁を実施しており、その範囲拡大と内容の強化も進めている。

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執筆者プロフィール
小山 堅(こやまけん) 日本エネルギー経済研究所専務理事・首席研究員。早稲田大学大学院経済学修士修了後、1986年日本エネルギー経済研究所入所、英ダンディ大学にて博士号取得。研究分野は国際石油・エネルギー情勢の分析、アジア・太平洋地域のエネルギー市場・政策動向の分析、エネルギー安全保障問題。政府のエネルギー関連審議会委員などを歴任。2013年から東京大公共政策大学院客員教授。2017年から東京工業大学科学技術創成研究院特任教授。主な著書に『中東とISの地政学 イスラーム、アメリカ、ロシアから読む21世紀』(共著、朝日新聞出版)、『国際エネルギー情勢と日本』(共著、エネルギーフォーラム新書)など。
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