饗宴外交の舞台裏 (90)

ドイツ人尺八奏者が奏でる日中文化交流の調べ

執筆者:西川恵 2005年7月号
タグ: 中国 日本 ドイツ
エリア: アジア

 中国の反日デモは、中国との文化交流に携わってきた人々に大きなショックを与えた。外国との相互理解に文化交流は本当に役立つのかという自信喪失とともに、より効果ある文化交流への模索も始まっている。 反日デモの余韻も収まった五月二十四日、北京の日本文化センターで「箏・尺八 デュオリサイタル」と銘打った演奏会が開かれた。尺八奏者は駐中国ドイツ大使館一等参事官のヴォルフガング・ボックホルト氏、箏奏者は新潟から駆けつけた杉浦順子さんという日独の異色の組み合わせだった。 曲目は「絃のしらべ」「鹿の遠音」「さくら」「詩曲一番」「春の海」の五曲。一曲ごとに約百人の中国人、在留邦人、ドイツ人など国際色豊かな聴衆から拍手が湧き、紋付に袴姿のボックホルト氏が流暢な中国語と日本語で、二つの楽器の特徴や曲目を説明した。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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