西武グループ支配権をめぐる三つ巴の暗闘

執筆者:安西巧 2005年5月号
タグ: 日本

義明の保釈から一週間後、改革委員会は解散した。ぽっかり生じた「権力の空白」をめぐる暗闘は、再建の行方を大きく左右する。「いろいろご迷惑をおかけしました。申し訳ありませんでした」 三月二十四日午後五時四十五分ごろ、神奈川県二宮町の邸宅前で車から降り立った前コクド会長、堤義明(七〇)は、報道陣の要請に応じて謝罪の言葉を二度繰り返した。 西武鉄道株をめぐる証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載、インサイダー取引)容疑で東京地検特捜部に逮捕されてから保釈まで三週間。白髪と皺が目に見えて増えたその表情に、昔日のカリスマの面影はなかった。だが、拘置所から出てきた義明は側近たちにきめ細かい事業報告を求め、「事実上、現場復帰している」(プリンスホテル関係者)ともいわれている。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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